2021/03/27 21:15
琵琶湖の上の滑らかな朝霧
伊吹山を覆う雪の傘
鮒寿司に纏う濃厚な白
東近江の山々に漂う神秘的な靄
美しくどこか切ない人々の心
僕が滋賀に感じる物すべてが「真っ白」なのです。
私が主宰のカフェ・ビアンコは、そんな滋賀からもらったインスピレーションを元に2021年初夏にスタートするお店。
クラシカルなイタリアンカフェでありアペリティーヴォが楽しめるバールでもあります。
また滋賀の素材の可能性をあらゆる表現で昇華させ世の中に広げていく「道の駅」的な役割も担っています。
【政所平番茶7インチレコードジャケット】
そしてこの政所平番茶「Evergreen Dazed」は私が手がける記念すべき第一号の商品です(コーヒー中毒の私の一番目のオリジナルがまさかお茶とは。。。笑)
政所茶の持っている伝統と姿勢、ここに至るまでの複層的でどこか儚いストーリーに刺激を受けこのパッケージを作りました。
世の中はブランド至上主義から抜け出せない状況で、本物かそうでないかを判別することもままならず、SNSでの露出が多くそれに賛同する数が多いものがもてはやされ、本当の自分の感覚で動きたくても動けない人が増えてきているようにも感じます。
【Evergreen Dazed】
僕は政所の地でこれから永い年月付き合って行くであろう政所茶と出会いました。そしてその作り手から教えてもらった「平番茶」の儚くも気高く力強いストーリーと、とにかく美しい黄金色を帯びたグリーンに釘付けとなった。
「このどこまでも澄み渡る「常緑」は今後人々を魅惑、いや幻惑することになるだろう」直感的にそう感じました。
そうしてこの甘酸っぱいほど清らかな作り手の心。エヴァーグリーンなお茶の色。そしてこの地域のどこか反体制的ともとれるような生き方。
私はこの茶所は1980年代初頭のUKロックのあり方に似ていると感じ、そのAttitudeへのオマージュと位置づけてこの7インチレコードのジャケットのデザインへと辿り着きました(分かる人には分かりやすいオマージュですが)
【Attitude Against the Rising Tide Of Conformity】
もっと楽な方法がある。もっと儲かる話がある。
その誰もが取り憑かれる悪魔のささやきと戦いながらも、600年以上守り続けてきた「大事な物」がここ奥永源寺には未だ存在するのです。
作り手が「純粋」で「真っ白」な心だから縛られず自由であり続ける。
そしてこの大事な物を100年後に繋いで行くための「政所の姿勢」
がこれなのである。
昨今のあらゆる事象に対して機械的で統一的に動く大きな流れ。考えることを放棄し、それに何のためらいも無く従順に従う風潮。
それに対してこのお茶は静かに抗っています。それがこの「政所茶」なのです。
Here is the tea that have been tasted by Japanese for hundreds of years.
Once the unrivaled flavor runs throughout your body, you’ll lose yourself in the tea. ラッキーなことに今貴方の目の前に数百年前の気高く芯のある日本人が飲んでいたお茶に限りなく近い物があります。
このお茶の唯一無二の味と物語を一度体に取り込んでみてください。
体の隅々の細胞レベルまで浸透してDNAを刺激してくることでしょう。
そうすればきっと忘れかけてた「何か」を発見して動かずにはいられないはず。
文章:カッフェビアンコ 天野